書評 AI vs. 教科書が読めない子供たち 新井紀子 読解力とは

書評・番組紹介

こんにちは

昨日のブログで
人は話を聞いてないんじゃない?
と書いて思い出したのがこの本。

「AI vs. 教科書が読めない子供たち」 新井紀子 東洋経済

です。

ちょっと前に本屋によく並んでました。

著者は、AIを東大入試に合格させる、
というプロジェクトに携わっていて、

この本では、受験に重要な、
問題/話を理解するということに言及しています。

大筋では、AIの現状と研究の結果判ったこと、
そして、成績の良くない子供たちの原因について
の現状と対策が描かれています。

AIについては日進月歩で進んでいますが、
この本で著者は人間を超えることはないと断言しています。

それはAIは人間を模倣していますが、
人間の思考自体が今現在解明されてないので
そもそも何を超えるの?という話になるようで、
私もいくつかの本で読んだことがあります。

AIの今の手法では、多くの今のデータから、
最適と思われる答えを探し出すというもの。
ある程度枠とか範囲が決まってれば得意。
物事を理解するというのは、この範囲から外れることが多いので
対応できない、ということらしいです。

AIの東大合格プロジェクトはそういった背景もあり、
ひとまず終了とのこと。
だから、AIはそんな恐れなくていいよ、

という話で終わり、ではないみたいです。

東大入試合格は断念したものの、
その研究成果では、現在で偏差値60くらい、
このまま研究を続けるとしても、
最高で偏差値65くらいまでなら
AIで到達できるとのこと。

本の趣旨から多分外れるみたいで、
深くは言及してませんでしたが、
これがどういうことか調べてみました。

偏差値65で調べると
いわゆる誰もが知ってる名門大学や名門学部のレベル。
数学的には成績上位6.7%くらいに入っていることを意味します。
ちなみに、偏差値60は上位20%くらいで、MARCHレベル。

その他の93.3%の人は、成績だけで考えられれば
AIにいつ置き換わられても不思議ではない
という結構シビアな結果。

じゃあ、AIが人間を追い越せないというのはどういうこと?
となります。

AIがその上位6.7%にどうしてもかなわない能力が、読解能力。
AIは文書を読んで意味を理解する、
ということができないようです。

なので、AIで代替されない人間というのは、
簡単で、意味を理解できる人、ということが、
本書のタイトル

教科書が読めない子供たちに

つながります。

著者の関心は、
ではどの程度意味を理解できる人がいるかいないか
ということに移っていきます。

いろいろ調査をすると、
成績の悪い生徒は頭が悪いとかではなく、
問題の意味を理解できてない、
と判ってきます。
つまり、教科書が読めてないだけ。

これから来るAI全盛の時代に
求められるのは、

意味を理解する人材

そして、
意味の理解力がそのまま成績につながっている
ということになります。

まあ、
何やらせても何でもできる人間は実際いるわけで、
それは意味の理解力が優れている、
と考えれば納得です。

でも読解力は生まれつきでもないし、
大人になってからでも身につけることは出来る
と、いう例はあるそうなので、ご心配なく。

ただ、研究は始まったばかりで、
誰にでも、こうやればいいという
万能の処方箋がないのが現状。

子どもの学力低下に危機感を感じている、
これを知った教育現場の教師たちも
試行錯誤で動き出している感じだそうです。

精読、深読にヒントがあるのかも、と書かれていましたが、
どうして?どういう意味?
とやりながら教科書を読んでいく感じでしょうか?

著者も最近テレビに出てましたし、
こういった教育の流れになっていくのかもしれませんね。

この本で印象的だった言葉が、

教科書でも本でも、
それにかかった時間は長大なので、
簡単に読んで理解するなんて難しい。

書くに使った倍以上の時間を費やさないと
理解できなくて当たり前
とのことです。

私は、結構多読な方だと思うのですが、
こういう話に触れると、
どこまで理解してたのか不安にはなってきますね。

焦って読み飛ばさないで、
ゆっくりでもいいから理解するために
何度でも読む
ということは必要そうです。

調べてみると、当然ながらこの本への批判記事もあります。

AI開発者の意見と思いますが、

要は、AIは枠組みの中でしか考えられないので広がりがない
といってるのに、著者は自分で作った”読解力向上がすべてを解決する”
という枠組み出てない、
という感じでしょうか?おまけにAIの限界?

東ロボくんは、なぜ失敗したのか 「AI vs. 教科書が読めない子どもたち」批評1 などなど。

学校の成績がすべてじゃないというのは、
今の世の中の流れですし、実際この歳になればだれでもわかるもの。

なのに創造性を高める為の方策でなく
成績を上げるためには、に
こだわりすぎているように映ったのかもしれません。

そもそもこの本の前提の一つの、
AIは人を超えられない、いや超えられる、という
いわゆるシンギュラリティの問題も解決してない現在、

どちらの言い分も、ごもっともと思ってしまう私は、
やっぱり読解力がないのかなあと思いながらも
日々精進の日々です。

ということで今朝は

AI研究者の結論として、
話を聞く能力が成績を決めるので、
AIに取って変わられないように、
理解力をつけた方がいいんじゃないの?というお話でした。

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