エジソンのことば 〇〇は1%のひらめきと99%の◇◇である

ラッキー

かの発明王エジソンの有名な言葉ですが、
伏字に何が入るかわかりますよね。
でも、結構引用されているうえに
アレンジもされていることも多いので
正確に答えられる方は意外と少ないのでは?

私は間違っていました。

こんな言葉の本当の意味や、どうして生まれたのか、
エジソンにラッキーが当てはまるかに絡めて調べてみました。

エジソン

まず、エジソンはこんな人です。

言うまでもなく
現代人の生活に欠かせない数々の発明をし、
現在では超巨大企業、
ゼネラルエレクトリック社(GE)の根幹となった人です。

一般的な解釈

表題の
「〇〇は1%のひらめきと99%の◇◇である」
の原文はこんな感じです。

Genius Is One Percent Inspiration, Ninety-Nine Percent Perspiration

表題の答えは、一般的には

天才は1%のひらめきと99%の努力である

となっています。
和訳では99%の努力が先で
1%が後に来るパターンもあるみたいですね。
でも、あまりにもシンプルなので、そのまま受け入れていいのか、
なんでこんなことを言ったのか気になりますね。

改めて訳してみる

そこで、まず、このままの訳文でいいのか調べたくなりました。

調べる単語も少ないですしね。

単語の意味

わざと判りにくく英英辞書通りに、原文に忠実に訳すと、

とても高いレベルの、ごく少数の人が持つ、
知性、精神的技量、能力などの才能は、
1%の急に浮かぶ素晴らしい考えと、
99%の発汗することでできている。

もう少しわかりやすくすると、

天才的な才能は、

1%のひらめきと

99%の汗をかく行動からできている

Geniusという単語は、
単純に天才と訳されますが、
英英辞典からは高い精神性を持つ人も
geniusに含まれているみたいです。

また、不可算名詞uncountableで使うときは、
人ではなく才能を意味しているようで、
格言の文体と後述する流れから、
この格言の中では人というより、

非凡な才能

とか、
天才的な才能

の意味で考えた方がよさそうです。

この格言の訳で、主語をいろいろ調べてみると、
このgeniusの代わりに
成功や達成、幸せ、勝利など
いくつかのバージョンを見かけたことがありますが、
これらは全部アレンジだったんですね。
私の場合は才能ではなく、成功と思っていました。

 

ところで気になるのが、
perspirationという語句。
恥ずかしながら見慣れない言葉なので
調べてみましたが、
perspirationは単純に汗 (sweat)や発汗の
フォーマルな形とか
学術的な用語という意味しか出てこない。

汗をかくということから、
努力( effort, endeavor)や勤勉(hard work)に
容易に置き換えられると思うのですが、
辞書でいろいろ調べても努力につながる
言葉の置き換えは見つかりませんでした。

ネイティブの人の感覚は
いまいちわからないのですが、
inspirationに対応した韻を踏む、
インテリの少し気取った言いまわし
と考えていいのかもしれませんし、
エジソン自身が
額に汗して行動して結果を出してきたことに、
こだわりがあったのかもしれません。

Inspirationが外から入って来るもの、
perspirationが自分から発散されるものという感じで、
対比されていて語呂もいい、
ネイティブでないとなかなか発想できない
格式の高い英語表現なのでしょうね。
それとも単純に
effortとかendeavorとかは使いたくなかったのか?

この後はperspirationを額に汗する行動
と書いていくのは面倒なので

perspiration=努力

と書くことにします。

何故こんな言葉が生まれたか

それでは、何故こんな言葉が生まれたのでしょうか?

そもそもの始まりは、
天才的な才能とは何か?What is genius?」
という命題が当時あり、
学校の先生でもありエッセイストでもあった
Kate Sanborn女史の
1893年の論評から始まったようです。

当時一般的に言われていたことは、
「天才的な才能は、ひらめきよりも努力」と、
努力だけが大事なんだ、という風潮でしたが、

彼女曰く、努力だけじゃなくって、
天才的な才能とは、”ひらめき”
”持って生まれた才能”と”努力”、
の3つ、どれも必要、と主張しています。

“genius is inspiration, talent and perspiration.”

こういう流れで、当時から天才といわれていた
エジソンにもご意見を、
となったのかもしれません。

エジソンの言葉の変遷

多分、注目の人の発言で、インパクトがあったので、
想像したより広まってしまった、
という背景が予想出来て、
そのために言葉の変遷があり、
いくつかの異なった言い回しになったのでしょう。

この格言の99%のフレーズが引用されている
2つの記述を紹介します。
どちらもエジソンがこう言った、という記事です。

一つは何が何でも努力。
もう一つはinspirationの在り方を表した文。
どういう文脈かで印象が違いますね。
同じ言葉でも記事にした人の
思いや時期の違いもあるのでしょう。

 

引用① 

1901年に引用された言葉。これは努力偏重な感じ。

天才的な才能は、言い換えれば勤勉であったり、
誠実であったりする働きである。
「天才的な才能とは1%のひらめきと、99%の努力の事」
とエジソンは言った。
何か成そうとする人は、
もらう報酬以下のことはしていないし、
自分の働いた以上の報酬は得ていない。

Genius is another name for hard work, honest work. “Genius,” says Edison “is 1 per cent inspiration and 99 per cent perspiration.” People who take pains never to do any more than they get paid for, never get paid for anything more than they do.

 

引用②

自伝中にある1903年の言葉。
これはinspirationの在り方に言及。

私の発明で偶然できたものはない。
私はそれと出会う価値のあるものを見つけ、
それが得られるまで何度でも試してみるだけさ。
要約すれば、1%のひらめきと、99%の努力ということ。

None of my inventions came by accident. I see a worthwhile need to be met and I make trial after trial until it comes. What it boils down to is one per cent inspiration and ninety-nine percent perspiration.

エジソンの真意は?

エジソンがこんなに多く発明できるのは、
すごい秘密があるからに違いない。
秘密は何だ?と思っていた世の人は、
これらの言葉を聞いてがっかりしたようですが、
やはりエジソンは努力の人なのでしょう。

引用①は、注意が必要ですね。
エジソンが言ったのは99%のくだりのみ。
とてもまじめに、全米の人が、
努力していいアメリカを作っていくんだ、
といった社会の雰囲気があって、
それに記者の意見も入ってなじんだのかもしれません。

このころ、1908年に
キリスト教圏では聖書の次に読まれているという
ジェームス・アレンの記した
原因と結果の法則が出版されているので、
こういった雰囲気がジェームス・アレンに
影響を与えていてもおかしくないと思います。

ただ、引用②を見るとエジソンは、
単純な努力偏重タイプだったとは思えません。
努力しろというだけでいいなら、
何回も言い直しているのに
inspiration
という言葉がなくなっていないからです。

ただ、このinspirationも
何もしないでもらえるものではなく、
それと出会う価値を見つけるためにも
汗をかいているからこそ降りてくる
ということは念押ししたいみたいですね。

他の記事で、
ひらめきがなければ努力しても無駄。
努力、努力と変な美談にするな、
と怒っていたという記録もあるらしいです。

残念ながらエジソンには、
Luckyは否定された形ですが、
引用②の方が私は好きです。

ただひたすら努力している中に、
ひらめきが生まれる、といった順番ではなく、
1%のひらめき、アイデアがあるからこそ
残り99%努力できる。

こういう順番で考えた方が幸せな感じがします。

超意訳

というわけで、非難されること覚悟で、
私なりの解釈を加えて、いろいろ変遷のあったエジソンの言葉

Genius Is One Percent Inspiration, Ninety-Nine Percent Perspiration

を、以下のように訳したいと思います。(超意訳)

 

エジソン曰く、

天才的な才能はどこから来るかって?

まあ、99%は努力だね。

でも、これだ!と思った1%分のひらめきがなければ、

努力なんてできるわけないないじゃん。

ただ、ひらめきを生む努力も続けないと、出てこないんだよね。

それが、あなたには私に才能があるように見えるだけなのさ。

 

いかがでしょうか?

キャッチ―なフレーズにはできませんでしたが、
エジソンの気持ちはこんな感じだったのではないでしょうか?

 

ということで、とうとうエジソンからは
luckyという言葉の引用は見つけられませんでした。
エジソンが言ったわけではないですが、
調べた中で、この格言にインスパイアされて、
当時のTシャツのデザインになったという言葉を紹介しておきます。

適当に私のTシャツとコラボさせてしまいましたが、
こんな感じだったのでしょうか?

私はオリジナルの格言よりも、
これはこれでもいいかなあと思います。

エジソンさんごめんなさい。

 

英英辞典は基本的にLONGMAN dictionary of contemporary Englishで調べていますが、その他のwebの辞書も使っています。引用は、wikiquoteQuote Investigatorからです。

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