こんにちは
今日は漫画の話題。
最近は電子書籍がかなり一般的になってきて、
私の周りでも何人か著作を出しています。
自由に出版できるという意味でも
この機能は貢献していると思いますが、
不思議と、活字が紙で読む方が頭に入りやすい、
紙派の私としては活字媒体はやっぱり多少お高くても紙。
そんな中、漫画は電子版が多いですね。
しかも無料作品であふれている。
古本屋でしか手に入らないものも、
古ーい紙のにおいもしないで、きれいな画面。
漫画と電子書籍は相性がいいのではと
密かに思っています。
そんな漫画はもっぱら愛用のiPad miniで見ます。
漫画本のサイズにぴったりなので、ちょうどいい感じです。
まずはタダ漫画も多いので、なんでも見てみますが、
いろいろなヒントがありますね。
作家さんてすごい、と思わせる場面やセリフがあって、
そういうものに出会う度にキャプチャ、
いわゆる画面保存してます。
たまに保存した画面が何の漫画か判らないことが
あったりするのが困りものですが、
もう一度読みたいと思っても
その時買ってなかったのは
それも縁。大抵見つかりません。
そんな中でスポーツとか仕事の漫画って、
心理学入門的な言葉がちらほら出てきて気になります。
以前紹介したダニエルカーネマンで有名な
心理的な偏りがモノの見方を変える認知バイアスとか、
前提で思考が狭まるアンカリング理論などなど。
適当な日本語がないのが悩ましいところですが、
うまく説明してます。
今朝、何気に撮りだめした画面を見ていて、
別な漫画がつながったのが面白かったので、
紹介したいと思います。
一つはアーティストをめぐる仕事の在り方を
うまく見せてくれる、左利きのエレン。
現在も連載中。
もう一つはうがった見方をすれば
心理学の教科書を紐解いて野球漫画にした感じの
天のプラタナス。
こちらは全28巻で完結してますが、
月刊誌での連載なので、相当な歴史ものです。
左利きのエレンのエピソードは
主人公の一人が、新進の芸術家を
有名なプロモーターに売り込もうとしている場面。
「クリエイターにとって、もっとも大事な素養は?
それは目。審美眼、着眼点、観察力、先見性。
しかし人は生きれば生きるほど、それらの目は曇る。
それがバイアス。
子どもの目から、「自分の都合のいい世界」
を持つ大人の目になっていく。
少ない情報から経験則で答えを即座に出すことができるのは
バイアスを駆使したから。
(それで成功している。)
でも恩師に言われたのが、
こういうことでしょ、ってみたいに済まない。
お前が見ているよりも世界は複雑だ、って。
自分と似た人って、
自分の弱点を知るのにいい鏡だと思いません?」
かなり挑発的な場面なんですが、
バイアスの説明は秀逸。
否定的に使われることが多い言葉ですが、
それがあるからうまくいくこともあるということも
セリフに入っていて、しかも
お互い曇った目=バイアスがあるんだから、
この芸術家にかけてみてもいいんじゃない?
という使い方まで示している。
下手な解説書よりよっぽど腑に落ちる言葉になりました。
この認知バイアスに関わっている言葉に
アンカリング理論というのがあります。
よくマーケティングで使われる言葉です。
そこで次は、天のプラタナス。
万年1回戦負けの弱小野球部が、
新入生も入り予選を勝ち上がっていく。
試合中すぐに弱気になる選手を、
テニスでは有望選手だった
野球を知らない女性監督が、
鼓舞しようとしてる場面。
「1万円の品物。今日限り3千円。
買う?」
「買う!でもなんで今そんな話?」
これがアンカリング理論そのもの。
(この例の場合は1万円が錨で、
それを中心に考えて3千円は安い
と思ったことですね。)
アンカリングは船が錨を下ろすと、
つなげている鎖の長さ以上には行動できないことから、
人も同様に無意識で、この錨を置いて、
その行動範囲を決めているというもの。
「でも、錨の場所を変えれば景色は変わる。
ね、素敵じゃない。
今からずっと遠くへアンカーを入れてください。
これであなたたちの行動は変わる。
そして結果も変わる。」
勝ち続ける自分という人物像に
アンカーを置いてその世界で今を見てください
ということなんですが、
よく話している、ゴールは現実の外に設定するという
そのものの話。
コンフォートゾーンを抜け出すための第一歩です。
しかも、窮地に追いやられているときに話す
この話の使い方が絶妙。
必要なときに必要な言葉しか受け入れられませんからね。
こんな感じで、認知バイアスとアンカリングが
うまい具合に説明されていて、
使い方まで教えてくれる。
漫画も捨てたのものじゃないですね。
絵のインパクトもあるから
気分も入って情動記憶にもなりやすい。
最近の子供は漫画も読めないという話を聞きました。
順番があっち行ったりこっち行ったりで、
読み方が判らないという理由らしいです。
縦スクロールの漫画が
増えてきているのはそのせいみたいですね。
漫画だけではないのですが、
お!というエピソードにも出会うことがあります。
必要なときに必要な言葉が目に入る
辻占と同じようなものなんでしょう。
自分がどこにアンテナ張っているのか、
意識していると目に入りやすいですが、
無意識でもこの言葉欲しかったなあ、と
気付く効果もありますので、
私には漫画もそんな媒体の一つですね