書評 天才 マルコムグラッドウェル 1万時間の法則+アルファの話

コーチング

あなたは天才になりたいですか?

 

天才になるにはどうしたらいいか?
天才はどのように成功しているのか?

この人類の長年の疑問の答えは

努力する時間

この答えを打ち出したのが、この本

天才!成功する人々の法則 マルコムグラッドウェル著

原題はOutliters the story of successです。

ところで、
10000時間の法則ってご存知ですか?

何事にも10000時間の練習をすれば
1流のプロになれるということなんですが、
この本がベストセラーになったことで
一気に広まったと言われる法則です。

ただ、10000時間というのが独り歩きし過ぎてることを鑑み、
やみくもに努力するだけじゃだめ、と、
この元になる研究をしていたアンダースエリクソン博士が、
文句を言ってる内情はありますが、

いずれにしても

努力した時間が天才を作る

ということには変わりません。

多分10000時間というのは本を売るときにキャッチ―だし、
伝わりやすいから、という売り出しの問題なので、
あくまで目安と思っていただければいいかなと思います。

事実として
音大生のバイオリン奏者で
優れた生徒は18歳までに8000時間
まあまあの生徒は4000時間の
練習をしていたという調査結果があったり

ビートルズが下積み時代
ハンブルグのライブハウスで
1年半で1200回のライブをしたり
やっぱり努力はしてたんだね、
という話ではあります。

 

ところで、
10000時間というと
1日3時間だったら9.1年
週休2日、7.5時間勤務で5.1年

中、高、大と部活をやってたり、
会社勤めをしていれば
とてつもない時間という訳ではありません。

でも、
あなたは1流になってますか?
天才と言われてますか?

独り歩きしている法則とは裏腹に、
この本を読むと、著者の言いたいことは
実は10000時間の努力だけじゃなくて、

天才は運で作られている

ということが書かれていて面白いです。

ここでいう運は何もスピリチュアルな話ではなく、
もっと実務的な、自分では選べない状況という意味です。

例えば、生まれた月、時代背景、生まれ育った文化などなど。

プロスポーツ選手の生まれ月を調査すると、
明らかに偏りがある。
それはシーズン始まり日以降で
これに近い誕生月に近い人が多い。

本書のアメリカだけじゃないのか?
と思って日本はどうか調べましたが、
プロ野球選手でもJリーグ選手でも

学年の前半の4-9月生まれの数が圧倒的で
10-3月生まれの倍近い人数でした。


日刊スポーツ2019年1月17日参考

進学校に進む人の割合でも
年の前半生まれの方が有利という結果もありました。

週刊女性2016年9月6日号参考

でもオリンピックで金メダル最多は1月生まれ。
この仕掛けは、オリンピックとかワールドカップは
世界標準で国際大会の基準は1月から始まるからでは?
となっています。

日刊スポーツ2019年1月17日参考

よく早生まれはいろいろ不利と言われてますが、
これが実証されてるんですね。
私は2月生まれなんですが、
そういえば小学校2,3年くらいまでは背の順で前の方でしたし、
よく控えめすぎると通知表に書かれてた気がしますね。

なぜこういうことが起きるかというと、
子どものころの成長は同学年で1年分の差が結構大きく、
成長が早いほど、スポーツでも勉強でも優秀な傾向が。

更に能力選抜があれば当然成長の早い、
学年の、早く生まれた人が選ばれやすく、
このことで自分はできるという心的イメージが
更に上がってますます技術が上がっていく
という仕掛けみたいです。

オランダではこういう事実が認められているので、
10歳までは子どもに順位付けしない方針らしいですし、

日本の体操協会でも、少なくても小学生レベルの順位には
こだわらないで育てていくといった対応をしているようです。

 

また、アメリカの歴代の超大金持ちは、
当時の資産が、今の貨幣価値に置き換えなくても
上位にランクされているのですが、

1830年代生まれが多く、
石油王 ロックフェラー、
鉄鋼王 カーネギー
金融の JPモルガン
などなどよく知られた面々がいます。

彼らの活躍した時代は
アメリカが世界一の経済大国になる
まさにその時で

景気の波に乗っていなければ
ここまでの成功はなかったはずだ
と主張してます。

マイクロソフトのビルゲイツの成功も
それまで建物一つくらいの大きさの
コンピューターが小さくなって、

家の中に持ち込める
パーソナルコンピューターという概念が
広まり始めた時に、この技術で勝負したのですが、
この技術がなかったら実現してないはず。

また、
アメリカというか世界ではアジア系の人種が活躍してますが、
これは、アジア各国では
稲作などの手間がかかる農業を基盤としている国が多く、
コツコツと物事を積み上げる文化が
遺伝子レベルで染みついていて、

そりゃコツコツ努力を続けられる
資質があれば優秀になる
ということみたいです。

その他にも
その時代時代で求められる才能が違うので
それにフィットした人たちが成功しやすい
という事例も紹介されていて、
神童と言われた人が成功しない要因
とされています。

要するにこの本では

努力を続ける人達の実力の差は大したことなく
天才と言われた人たちの成功は、

運に左右された「贈り物」

で、タイミングや環境の要因が大きい。

なので、偶然に頼らない、

すべての人に好機を与える社会を作ること

が求められている。

例えば、プロスポーツだったら、
年の後半生まれの人たちだけのリーグを作るとか、
アングロサクソンの文化の中に
アジアの農耕文化をちょっとだけ入れるとか、
他の分野にも広げていくべきでしょう。

こんな感じで、本書は締められています。

 

ここからは私の主張なんですが、
生まれ月の問題は、

もしあなたが早生まれで、あまり成績良くなかったとして、
そんな子どものころの
自分の考えに引きずられないで欲しいですね。

自分の持つ才能はしょせん
子どものころのイメージ次第なら
考えてみれば、なんの経験もしていない
そんな浅い子供のころの考えを、
大人のあなたがそのまま受け入れてるのもおかしな話。

立派に大人になってるんだから、
今の考えや知識でやりたいことを決めていけばいい
そう思いませんか?

また、環境のせいにしなくても
必要なことが判ってるんだから
対処のしようもありそう。

そんなことを手助けするために、
そんな時のために
コーチングがあるのでは
と最近思ってます。

で、前出の10000時間の法則の元ネタを研究していた
アンダースエリクソンは
この本の結論が、それでいいのか?という強い主張で、

超一流になるのは才能は努力か?

という本を出しているので、
せっかくなので、次回はこの本の紹介をしますね。
比較すると面白いです。

書評 超一流になるのは才能か努力か アンダースエリクソン 努力の方法
人は時間を費やして努力すれば天才になれる! そんな10000時間の法則について、 このネタ元の研究をしていた研究者が、モノ申す。 この数字の一人歩きが我慢できない、 という動機でおそらく書かれた本。 天才を育むのに ...

最後まで読んでいただきありがとうございます。

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