書評 ティール組織 フレデリックラリー著 新時代の組織の形とは

書評・番組紹介

こんにちは

本日は組織の話です。
これからの組織とは?
この返答に多くの言葉が必要だったのでしょう。
大分、厚い本の書評となりますが、
できても3章中1章分くらい。
それだけ内容は盛りだくさんです。

その本は
ティール組織 フレデリックラリー著
副題は
マネジメントの常識を覆す次世代型組織の出現

読者が選ぶビジネス書グランプリ2019で
マネジメント部門賞をとったので
知っている方もいるかもしれません。

簡単な内容は、これまで有史以来の組織の変遷と、
主題の次世代組織、そしてその作り方です。

人間は生物として進化してきましたが、
これに伴って社会も進化し、これに合わせるように
組織も進化してきました。
まあ、お互い追従しながらの進化とは思いますが。

パラダイムという言葉がありますが、
これは、ある時代のものの見方・
考え方を支配する認識の枠組み、です。
このパラダイムごとに、
これに適応して組織も変化した、とされています。

このパラダイムをこの本では色で区別していて、
無色(10万年前の人類誕生から)、
マゼンタ(15,000年前から)、レッド(10,000年前から)、
アンバー(4000年前から)、オレンジ(20世紀半ばから)、
グリーン(今の先進企業)と続き、この本のテーマが
ティール、ツヤツヤした緑の鴨の羽色、となっています。

組織の人数はどんどん多くなりますが、
無色はいわゆる家族だけの生活、
マゼンタ(順応型)はリーダシップのない一族といった感じで
長老が一番偉いけど、組織を制御するという考えもない状態。

レッド(衝動型)は、対人関係に力というか暴力を伴うもので、
戦争などは得意ですが、安定には弱い感じ。
比喩としてはオオカミの群れ。
今残っている組織ではギャング。

アンバー(順応型)は、時間の流れを意識して、
計画ができるようになり、階級も生まれてくる。
いわゆる文明ができ始めの、メソポタミア文明のころから。
トップの考えを部下が実行という感じ。
比喩としては、教会や軍隊がこんな感じ。

オレンジ(達成型)は第2次世界大戦後から現れた
現在よく見られる組織。
世界は固定していないで、これまでの絶対的なものから
相対的な関係で成り立っていることを意識している。
また、技術革新(イノベーション)、説明責任、実力主義がキーワードで、
経済は爆発的に拡大することになりました。
ニーズを作り出してしまうようなイノベーションの行き過ぎとか、
社会的不平等、古来からのコミュニティーの喪失など、
現在は影の面も。

何事も目標ありきですので、ある意味未来に生きることを
強いられている組織というかパラダイムとも言えます。
比喩としては機械。

グリーン(多元型)は、いわゆる今先進的
と言われる組織の形で
現在の組織の反発から、成果を
売り上げだけじゃなく、もっと細かく見て、
反階級、権力といった感じの組織。

オレンジが未来の目標を主に見ることに反して。
今の自分も大事にするという感じ。
人を大事にして、古いものを壊すのは得意ですが、
実践的な対策が取りにくい組織とも。

権限移譲や、企業の価値観、関係者全員を重視。
比喩としては家族。無色の家族に戻ったわけではなくて、
組織全体が家族のようにふるまう感じでしょう。


今のボランティア団体に多い形態とのことですが、
サウスウエスト航空がこの例に挙がってました。

ここでまで来て、
やっとティール(進化型)組織が出てきます。
自分の組織を生命体のように、
すべての人が機能して必要と捉えている感じ。

人事や財務といったいわゆるミドルマネジメントのない、
イメージすると個人事業主が1つの目的のもとに
集まった感じですかね。

オレンジ組織が未来に視点があったことに対して、
このティール組織は今の自分たちにフォーカスしている組織
とも言えます。

当然、機能の邪魔になる、会社の存在目的以外の仕事は最小限で、
権限移譲ではなく、自分に関わることはすべて自分で行い、
役職という仮面をかぶらないで、自分の技能でやりたい事に従事、
上司もいないフラットな組織とされています。
なので、高いモチベーションで仕事ができる。

このモチベーションが侮れず、
多少の効率化とは比較にならないほど
ティール組織は業績をあげているとのこと。

いいことづくめで、そんな組織あるか!という感じですが、
何社も例を挙げていました。

例を挙げますが、
オランダの在宅ケアサービスの会社。


7000人の非営利組織。
それまで、通常の会社のように
効率化を求めましたが、逆に現場では仕事が増える一方で
看護師は苦しくなり患者にも悪影響が。

組織改編し、各地区10~12人のチームで担当し、
問題が起きたらこのチーム内で重要な判断を決める。
一応リーダーはいるが、チーム内からの推薦の形。
予算管理や採用はこのチームが必要に応じて行う感じ。
他のサービスと比べて評判も良い割に、
同じサービスしていても40%ほど労働時間も短いとのこと。

典型的なティール組織と紹介されていますが、
非営利団体だからかと思いきや、
一般企業も例に挙げてました。

それは、FAVIというフランスの金属加工メーカー。


自動車向け部品が主力、
各顧客向けのチームで成り立って、少数の製造チームと
支援チームがある。
チームが自分たちで決めた以外のルールや手続きはない。
人事、企画、スケジュールなどの中間部署はなくなり、
各チームで担当。

指示が上から来ることはない。
顧客からの注文は金額ではなく、
社員○○人分の注文を受けたと表現するとのこと。
いわゆる経営陣のトップが招集するミーティングはなく、
臨時でチーム間のミーティングがあるくらい。

その他にも例はありますが、この辺で。

 

ではその組織はどうすれば成り立つのか?
構造や慣行、文化について、の解説と、
ではそういった組織をどう作るか、の
話になるのですが、ブログ程度ではまとめられない。
いずれ機会があれば記事にしたいと思います。

まあ、ほとんど組織の歴史の紹介になってしまいましたが、
ここだけでも私にはためになりました。

どの組織も前のパラダイムを包み込んでいて、
この課題を超えて成立しているので、
単純に一気に移行している訳ではないようです。
現在でも、それぞれの組織を見ることはありますからね。

組織とリーダーの役割に関しても言及していて
リーダーがやることは、それまでの組織の慣行を
継続するか、別の慣行を作るか。
組織はリーダーが発達して、初めて発達できる、
と、しています。

マズローのステージ理論の話を以前しましたが、
この時、到達点としていたのは自己実現のステージ。

書評 超ドS思考法 大坪伸 for me/youのステージ理論
こんにちは 早速ですが、あなたが今やってることは 人のため?自分のため?どちらでしょうか? これは、今いる人生のステージで このどちらなのかを考えると 自分の行動に大きな葛藤や 迷いが少なくなるという話です。 ...

現在はさらにこの上の、自分の成功だけじゃない
”自己超越”というステージを提唱しているようで、
この進化型組織の構成員が近いとしてました。

ティール組織が出てきたことで、
人の進化は止まったわけではないということを
実証しているという言及もされています。

ティール組織内のわかりやすい人物像が、
「大志を抱いているが野心的でない人」。
簡単に言えば、エゴから自分を切り離して
頑張れる人。

自分でやりたいことに従事しているから
他の人を押しのけて、の必要はない、
ということでしょう。

コーチングは自分のやりたいゴールを達成しよう
というものなので、このティール組織というか
“個人のやりたい”に傾倒している
ティールパラダイムは、
とても相性がいいと思います。

これからの世の中、ますますコーチが必要な世の中に
“進化”していけばと思います。

あなたのいる組織は何色でしょうか?

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